19/05/2026
【地形図のアーカイブズ】
地形図は、等高線が引かれているので地形がわかるようになっています。国土地理院が作製している地形図の縮尺は1/25,000と1/50,000の2通とおりあります。これらよりも縮尺が大きいものは「国土基本図」、小さいものは「地勢図」「地方図」と名称が変化していきます。
東京都でも独自に「東京都地形図」を作製していますが、こちらは地形図といっても縮尺1/2,500と、国土基本図に相当する大縮尺のものとなっています。なぜ都が独自に地図を作製しているのかというと、都市計画など公務の中で使用するためには、1/25,000地形図よりも詳細な地理情報が表示された大縮尺の地図が求められたためです。
東京におけるこうした大縮尺地形図の歴史は、戦前まで遡ります。
大正11年(1922)、“都市計画東京地方委員会”という内務省の組織が、現在の区部に当たる範囲を対象に作製した1/3,000地形図を刊行しました。なお、昭和18・19年(1943・44)に多摩地域も作製しましたが、刊行には至りませんでした。
戦後、昭和31年(1956)に東京都建設局は、都全域を対象とした1/3,000地形図を新たに作製しています。その後昭和44年(1969)に新都市計画法が施行され、縮尺は2,500分の1へと変更、以降概ね5~10年ごとの更新を経て現在に至っています。
こうした自治体独自の地形図類は、測量法で「公共測量」として規定されています。測量法第40条では測量を行った機関は成果物の写しを国土地理院へ送付すること、第42条では国土地理院に写しの保管と一般への閲覧に供することがそれぞれ義務づけられています。
東京都作製の原図は、昭和31年以降の旧版が当館へ順次移管されています。当館が所蔵する原図は、“マイラー図”というポリエステル製の透明なフィルム素材で作製しています。これは伸縮が少ないことや、青焼きで複写する際に透明度の高い素材の原図が必要であったことから、主に図面で多く用いられた形態のものです。
画像は1枚目が昭和35年(1960)の測量に基づく「東京1:3,000地形図30-5 国分寺」、2枚目が昭和45年(1970)の撮影データに基づく「1:2,500東京都地形図26-11 西国分寺」です。3枚目は当館付近の様子を比べたもので、野球場の東側付近に現在当館が立地しています。俯瞰で見ると縮尺の違いがよくわかりませんが、3枚目を見ると右側(1/3,000)と左側(1/2,500)で微妙に描かれている大きさが異なります。また、下に紙を敷いているので白く見えますが、4枚目からスモーク状ではあるものの透明なフィルムであることがおわかりいただけるでしょうか。
【参考文献】
千歳壽一「都市計画基本図としての東京都三千分一地形図の作成―経済大国の首都東京形成の基礎地図はいかにつくられたか―」(『地図』46-3、2008年)
五条英司「大縮尺地形図の整備と利用」(『地学雑誌』81-1、1972年)
清水靖夫「昭和10年代に作製された東京西郊の3千分1地形図について」(『地図』34-1、1996年)
清水靖夫「東京の3千分1地形図について―「帝都地形図」の概要―」(井口悦男編『帝都地形図 別冊〔総解説・参考写真・総索引〕』之潮、2005年)
谷川興洋『地形図の製図とトレース』(理工学社、1989年)
都市整備局「『東京都縮尺1/2,500地形図』の利用について」(都庁総合ホームページhttps://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/about/chousa/map_user)(2026/05/13閲覧)
【画像の出典】
1枚目:「東京都地形図」国分寺(30-5)(請求番号:A12-30-5-34)
https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail?cls=collection_13&pkey=000368282
2枚目:「東京都地形図」西国分寺(26-11)(請求番号:B18-26-11-45)
https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail?cls=collection_13&pkey=000370089
3枚目右:「東京都地形図」国分寺(30-5)(請求番号:A12-30-5-34)
3枚目左:「東京都地形図」西国分寺(26-11)(請求番号:B18-26-11-45)
4枚目:「東京都地形図」西国分寺(26-11)(請求番号:B18-26-11-45)
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