1.諸外国における児童の人身取引が後を絶たちません。「人身取引」は、国際組織犯罪防止条約人身取引議定書において国際組織犯罪として定義されている言葉で、日本政府やILOなどの専門機関により使用されています。また、同議定書において、臓器売買、性的搾取、強制労働などを幅広く含むと規定されています。人身取引は、最大の問題である人命に関わる臓器摘出、性的搾取による売春利用、強制労働は奴隷ともいえる危険な児童労働を含み、女性が受ける強制結婚など様々な方法の搾取による非人道的行為です。これらは被害者の権利と尊厳を奪い、肉体的・精神的に深刻な損害を与えます。国際人権諸規約に反する人権侵害であり、国際社会から重要課題として認識されています。ストリートチルドレンの誘拐搾取だけではなく、親が子を売る場合もあり、それらを含めると世界でおよそ2,100万人が人身取引の犠牲となっていると推定され、その約半分がアジア地
域に集中していると言われます(2014年)。しかし人身取引は水面下で行われることが多く、この数は目に見える氷山の一角と考えられています。私たちはストリートチルドレン救済の為の孤児院設立、児童の保護、教育或いは、また子を売らせない為の親の雇用促進新設や教育機関新設に関わり、協力し、支援してきます。
また、誘拐搾取問題は決して諸外国のみならず、実は我が国でも深刻な問題です。児童の意思に反した連れ去りは、親権者や親族であっても、決して行ってはならない行為です。ハーグ条約「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約との基準」という世界基準では「国境を越えた子どもの不法な連れ去り」と定めているが、「子どもの意思に反した行為の禁止」は「子どもの福祉や利益」を大前提に定められている。従って、本来であれば我が国の国内でも「裁判所の管轄する他府県を超えた児童の連れ去りについては不法な連れ去り」と法整備すべきである。国境を越えていないという理由で未成年略取誘拐罪は、先行した連れ去りを違法阻却、元の監護養育現場への連れ戻しを違法性阻却も否定して適用するなど矛盾があり、連れ去り行為を蔑ろにされています。それは「私物化意識」という人権を無視した行為、非人道的行為を助長させています。児童の人権尊守、男女の人権尊守は世界基準に、まだまだ遅れが見られます。私達は、是正すべき点を研究し、諸外国と共に認知を広め、底上げを図る所存です。
2. 諸外国の孤児や出産前後やむを得ない事由により児童の養育が困難な養育者の問題は、本邦でも深刻な問題です。私達は、そのような孤児、養育者、また養親希望者の相談援助または国際養子縁組、特別養子縁組に関する事業を行い、要保護児童の健全な育成や人権を擁護すると共に、福祉の増進を図ることを目的とします。そして人種、民族における人権の尊重、性同一障害の人権確立と社会的地位の向上、それらを諸外国間という大きな世界の枠組みの中に含め、世界人権宣言、日本国憲法のかかげる理念を主軸として支援する。これらは本邦自治体国際化支援、海外自治体幹部の交流協力セミナー、地域間国際交流推進事業、自治体の地域の強みや特性を活かした海外自治体とのネットワーク作り、我が国を主体とした芸術・文化の交流振興などによる福祉・地域社会の向上、活性化等に資する交流、支援を行い本邦自治体の有する技術やノウハウを海外の地方自治体に伝える国際協力活動を支援しながら、様々な福祉と人権の確立を研究し、振興する。或いは、諸外国との交流などを通じ、海外の自治体職員の受入支援や専門家派遣によってこれらのシステムや教育事業を行い、認知を広め、普及、啓発に努めます。ひいては姉妹(友好)都市提携に基づく交流事業について、地方自治体等が国際交流事業、或いは海外の自治体との関係間で行われている交流、後の締結に必要な調査、支援を行ってまいります。
3.現在、アセアン諸国と日本が取り組む日本理解教育事業について、我々も同調し外国人技能実習生を支援していく所存です。その理由の第一は技能実習生で来日した学生は日本語留学生と較べても、より多くのものを学ぶ機会に恵まれているという点です。技能実習生が学ぶ事は、第一義的には技術や技能、二義的価値としては、社会人としての基礎的な素養の向上、人としての大きな成長、これらを「信頼・勤勉・誠実」が評価される日本社会で促される事です。その他の付加価値としては、当然、日本語の学習、職場でのチームワーク、仕事への取り組み姿勢、出来れば規律や倫理等より広範囲でより深い日本の理念を理解し、教育を学んでいくチャンスが生まれ、その可能性は絶大です。第二に、技能実習生は留学生と違いがあります。それは日々の生活における負担の違いです。技能実習制度を使えば、面接後に現地日本語学校へ数か月通う学費は投資しなければなりませんが、渡航費など企業が負担する経費でもあり、寮での生活やある程度の収入も確保できます。日本にくる実習生や留学生は、ある程度、富裕家庭の出身者だと主張される方もおられますが、全てがそうではありません。現実は親戚中に借金をしたり、畑を数ヘクタール売ったりして捻出し、両親は子供たちの未来へ投資しています。愛情の富裕家庭という表現でいえば、日本よりも多いかもしれません。その先行投資は、技能実習生も同じですが、留学生は留学に当たって学費や渡航費、日本での滞在費等、自身に大きな負担を強いられます。渡航費、入学金は両親が負担しますが、学費や生活費は留学生自身が懸命にアルバイトをして負担している現状があるのです。勉学が疎かになる心配も免れません。発展途上の国から来る留学生にとってこれ等の負担はかなり重いものです。そのような比較からも、技能実習生制度は発展途上にある低所得層の家庭の子供たちにも教育の機会を与える事が出来る可能性が大きく、私たちはこの制度を通じても開発途上の諸外国の発展に貢献していく所存です。
4.福祉welfareという言葉は、人権の尊重 well-beingを含めた広い分野に使われます。福祉の本来持つべき意味から社会の福祉を研究していくと、見えてくるのは児童養護福祉や高齢者介護福祉のみならず、医療など全ての社会福祉には知恵や知識、学識を得る為の「教育、教養」が根本的、本質的な要素として大きく見えてきます。それらを研究すると、根底に諸外国では階層社会、地域格差の課題がまだまだ存在する事がみえてきます。環境破壊・地球温暖化の防止、循環型社会への移行、活力ある地域の社会システムづくりは、先進国のみならず、途上国でも必須条件です。従って、その地域に生活する国民は、地域による偏りを無くし社会福祉を平等に得るべきであり、社会階層の格差是正は、雇用問題、生産性循環機能の見直しが必須です。従って社会階層、人種民族の偏見による弊害を研究し、平等に受けるべき、あらゆる分野での教育の裾野を広げて参ります。そのような視野で世界の社会福祉を鑑みると、我が国が直面している高齢化社会の福祉問題は、諸外国の未来にとっても非常に重要な課題になる事は明らかであり、これらにおいて福祉を研究し支援していく所存です。様々な問題に直面し、その課題を研究し、その中で人と人とが交流すれば、その人間関係は深く、場合によっては一生の付き合いになることも珍しくありません。その縁を大切に、私たちは誠実にそして実直にこの事業に取り組んでまいる所存です。
代表理事 雨谷龍弘