18/01/2025
おはようございます。
チーム泉佐野創生です。
1月14日から15日にかけて、泉佐野市議会 チーム泉佐野創生で管外の行政視察を行わせていただきましたので、その第2日目の調査速報を行わせていただきます。
今回は、初となる他の市議会の会派様との合同視察となりました。兵庫県三木市議会の公政会様と視察をさせていただきました。
⒈行先:熊本県 菊陽町 菊陽町役場・JASM周辺・セミコンテクノパーク
⒉日付:令和7年1月15日(水)午後
⒊目的
令和6年11月26日に会派で視察させていただいた中華民国(台湾)新竹サイエンスパークに設立された世界初のファウンドリー専門企業であるTSMCとしての日本初進出となる子会社であるJASMが立地された事で熊本県菊陽町がどのような影響を受けたか、その現状と今後の展望を調査すること
※TSMC = Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(台湾積体電路製造)
JASM = Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社
ファウンドリー = 自社ブランドを持たず他社からウェハー加工による半導体の製造受託を受けるビジネス
⒋概要
⑴自治体概要
熊本県菊陽町は、熊本市の北東部に位置し、37.46㎢の面積、43,763人(令和6年12月31日時点)の人口を有し、昭和30年4月に県内3村(菊池郡津田村、原水村、上益城郡白水村)が合併し、菊陽村となり、昭和44年1月に町制を施行した自治体です。農業が基幹産業で、「菊陽人参」ブランドで全国展開しています。
姉妹都市として平成6年度に鹿児島県屋久島町と盟約し、友好交流都市として令和5年度に台湾新竹県宝山郷と締結しています。昭和55年度に人口が2万人、平成17年度に3万人、平成27年度に4万人を突破し、熊本県内で1位の人口数を有しています。近年、JASM進出により外国人数が急増しつつあり、現在1,000人を突破している状況だそうです。
令和5年度決算で歳入が210億8,386万円、歳出が203億5,986万円で、半導体企業の固定資産税・法人町民税、その従業員の町民税が大きい結果、自主財源率が50.2%となっています。さらに、財政力指数が現在0.94ですが、次年度からJASMの固定資産税等が見込まれることから自主財源率の向上、財政力指数が1.0を超過する見込みとなっています。
⑵TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)とは
1987年にモリス・チャン 氏によって創業された台湾新竹市(新竹サイエンスパーク内)を本拠地とし、従業員数 約6万5千人(2021年末現在)で、売上高 約10兆1081億円(2023年通期決算)、純利益 約3兆9239億円(2023年通期決算)のファウンドリー専門企業です。
主要顧客が、Apple、AMD、Qualcomm、NVIDIA等で、ファウンドリー売上世界シェア 61.7%(2024年第1四半期)を誇っています。比較対象として、時価総額が約96兆円(2024年3月)の世界10位で、日本のトヨタ自動車の約63兆円の約1.5倍となっています。
※参考 2024年第1四半期 ファウンドリー売上シェア
Tsmc 61.7%、SAMSUNG 11.0%、SMIC 5.7%、UMC 5.7%、GlobalFoundries 5.1%
⑵JASM (Japan Advanced Semiconductor Manufacturing, Ltd.)とは
廖永豪氏(リヨウ ヨンハオ氏)を代表取締役会長、堀田祐一氏を取締役社長とする経営陣で、TSMC、ソニーグループ、デンソー、トヨタを株主構成とするTSMCの子会社となっています。(※ソニーグループ、デンソー、トヨタは少数株主)
平成30年度から、第二原水工業団地区域整備を工業団地特別会計を設置して推進、令和3年度にソニーグループからTSMC進出の情報提供、令和3年9月からソニーグループによる造成工場開始、令和3年11月 ソニーグループからTSMCとの合弁会社での投資で進めたいという申し出があり、TSMC第一工場が菊陽町立地決定、同年12月 JASMが設立、令和4年4月 JASM・熊本県・菊陽町で、立地協定締結、建築工事着工、令和5年12月 第一工場 建築工事完了、令和6年2月 JASM第一工場開所式、令和6年5月 第二工場 菊陽町立地公表(4月6日の岸田首相のJASM視察の際にCCウェイ現TSMC会長が発表)、令和6年6月 第二工場 造成工事開始という経緯となっています。
投資総額は225億米ドル(1ドル150円=約3兆3000億円)で、第一工場が86億米ドル(1ドル150円=約1兆2900億円/国が基金により最大4760億円支援)、第二工場が139億米ドル(1ドル150円=約2兆850億円/国が基金により最大7320億円支援)となっており、国からの支援総額が1兆2,080億円となっています。
第一工場・第二工場の製造製品は6/7ナノ・12/16ナノ・22/28ナノ・40ナノの「ロジック半導体」で、現在の国内最先端半導体は、40ナノなので、日本で最先端の半導体が、菊陽町で生産されることになります。従業員数が、第一工場1,700人・第二工場1,700人、うちTSMCからの赴任者は500~600人の合計3,400人で、月間生産能力が300ミリウェハー 118,000枚(40ナノ含む)となるそうです。
⑶JASM立地の理由・対応
「第二原水工業団地」の整備に着手していたこと、熊本県内における半導体関連企業の集積地として「ソニー」が隣接地に立地していること、半導体の製造に必要な水(地下水)が豊富なこと、国からの支援(補助金)を受けられることが主な理由で、菊陽町としてJASM及びソニーとの密なコミュニケーション、求めるスピード感への対応、オーダーに沿った対応、町・県と一丸となった対応を心がけたそうです。
⑷JASM誘致による影響
TSMC進出に伴い、様々な変化が発生することを下記の通り菊陽町は想定しています。期待されること(メリット)として、人口の増加、雇用の創出・待遇の向上、固定資産税等の税収の増加、地域経済の活性化(10年間で約11兆円との試算)、更なる産業の集積等、不安視されること(デメリット)として、交通渋滞の発生・拡大、労働者の不足、地下水への景響、住宅地の不足、外国人との文化の違い、地域の外国語対応等が想定されています。
TSMC進出に伴う期待(メリット)の最大化と不安(デメリット)の最小化を図り、産業と生活を両立させていく為に、各種計画の改訂、インフラ整備、地下水涵養の推進、多文化共生の推進を図られている、とのことでした。
具体的には、JASMが使用する1日8,500t、年間300万tの水を涵養(かんよう)する為に、河川に取水口を設置し、高低差でにんじん栽培が終わった時期の田んぼに水をはる取組を推進しているとのことでした。そうすることで失われた地下水が復活するそうで、それぞれの農家に企業から協力金が支払われているそうです。さらに、田町のダムにパイプラインを通して工業用水を引き込むなど、多面的な水の確保に努められています。
町内の各駅が令和6年はいずれも過去最高の乗降客を更新したそうで、今後、新駅の整備に向けて具体的に動き始めているそうです。さらには、その周辺の約70haの土地整理区画事業による商業施設やホテル、マンション等のほか、大学や企業の研究・サテライト施設の誘致など「知の集積」をめざしながら、西日本初となる大規模なアーバンスポーツ施設(令和8年度開業予定)の整備も計画しているそうです。現状、町南部に位置する阿蘇くまもと空港も毎日台北と日本を往復するフライトで台湾人の往来が盛んとなっています。
また、新たな交通拠点・知の集積エリアを中心に、脱炭素を前提とした先進的な交通システム(BRT、自動運転、シェアサイクル)についても検討を進め、TSMC進出や空港アクセス・鉄道整備の効果を最大限高め、県全体の発展につなげようとしています。基幹産業である農業を守りながら、バランスのとれたまちづくりを推進していくヴィジョンでそれぞれの計画の改訂作業に取り組んでおられるそうです。
⒌所感
令和6年11月26日に会派で視察させていただいた半導体企業や大学、研究機関が集積する中華民国(台湾)新竹サイエンスパークに続いて、そこから進出してきたTSMCが日本国内の一自治体、国内に及ぼす影響について調査すべく、現在半導体バブルと呼称される現象で取り沙汰されている熊本県菊陽町を視察先に選定させていただきました。
上記報告させていただいた通り、負の側面もありますが、正の側面が大きすぎて、半導体をはじめとする最先端技術の開発・誘致は、持続可能な地域経済の発展・繁栄に欠かせない政策であると、改めて確信を抱きました。
町職員の方々からのヒアリングの前に、実際に半導体企業が集積する「セミコンテクノパーク」を自動車で回りながら視察させていただきましたところ、台湾の超広大な新竹サイエンスパークを視察した時にTSMCの工場がいくつも立地していて、さらに建設が進められている光景を見て受けた衝撃を彷彿させるくらい、菊陽町の半導体集積地の現状もインパクトがありました。
昨今のコロナ禍や有事に伴う半導体不足、今回のTSMC(JASM)の進出によって、半導体企業であるTSMCに世界的な注目が集まる中、菊陽町に進出してきた最も大きな要因は、平成10年代に菊陽町に進出してきた半導体を手がけるソニーグループが進出してきたこと、そこがTSMCとの補完関係にあること、関係性・ご縁があったことだと思いました。環境の重要性も然ることながら、やはり最終的な決定要因は何事においても、誰の発信か、誰と組むか、誰がやるか、だと思いました。
泉佐野市にも半導体関連産業を誘致したい思いで、議会の一般質問でも提言してまいりましたが、本市として今後広大な土地の造成を行うタイミングや、関西国際空港が立地するという好条件が整う中、水源・水質・電力を確保できるか、住民理解を得られるか、どのような関係企業が存在するか等、総合的な見地から調査・研究を進めながら、誘致活動の推進を図るべきと考えます。引き続き、泉佐野市民の皆様がワクワクできるような経済産業政策の推進とともに、地道に、着実に持続可能な自治体経営を実現できるような布石を打って参ります。
この度の視察にお力添えいただいたすべての方々、合同で視察対応に応じていただいた三木市議会公政会の方々に心から感謝申し上げ、視察の報告に代えさせていただきます。
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